ソーシャルレンディング業界にはさまざまな問題が発生していますが、その中でも数少ない、順調に案件の募集を行い、そして投資家からの資金を集めることに成功している会社に「クラウドバンク」があります。
クラウドバンクは、現在400億円以上の募集実績を誇っており、国内のソーシャルレンディング業者の中でもmaneo(マネオ)、SBIソーシャルレンディングに続いて第3位に位置しています。
そこで、これから先安定した投資先を探したいという人にとって、クラウドバンクは良い投資先なのか、それとも投資をするべき対象でないのかという点について、クラウドバンクの良い評判と悪い評判から探ってみたいと思います。
目次
クラウドバンクの良い評判とは
豊富な実績を誇っているソーシャルレンディング会社であるクラウドバンク。
どういった点が投資家から評価を受けており、どのような評判を獲得しているのでしょうか?
良い評判①:貸付実績が豊富
クラウドバンクは、2014年からソーシャルレンディング業界に進出しています。
累計募集金額は同社のホームページを見ればわかるように、450億円を突破しており貸付実績は大変豊富だと言えます。
貸付実績が豊富だということは、投資家からお金を集めることに成功しているだけではなく、集めたお金を融資する先の数が多いということです。
ソーシャルレンディング業界では、ひとつの会社に融資を行っていたことにより、その融資先が倒産したり返済できない状況に陥り、一気に貸し倒れがまとまって起きるという会社もありました。
「ラッキーバンク」や「クラウドリース」などです。
融資先をひとつの会社に依存することは大変危険であり、融資先の会社の倒産とソーシャルレンディング会社、そして投資家の命運がまさに一蓮托生になってしまうのです。
しかし、クラウドバンクの貸付実績を見ると、さまざまな略称の会社が貸付先に登場しているため、融資を1社に依存していないことがわかります。
また、貸付実績が豊富なだけではなく、投資家への返済実績も非常に豊富です。
貸し倒れもなく返済ができているということは、きちんと融資先からの回収も行いているということであり、資金の回収能力にも長けている会社だと言って良いでしょう。
クラウドバンクは、貸付先の審査において、そして回収のスキームにおいても優れた能力を持っている会社でしょう。
良い評判②:貸し倒れ(デフォルト)を発生させたことがない
クラウドバンクは、これまで300億円以上の返済を投資家に対して行なってきた実績を持っています。
案件の募集件数は明確にはされていませんが、400億円以上の融資実績を持つことを考えると、数千件以上の貸付実績があると考えられます。
その中で、何とクラウドバンクは一度も貸し倒れ(デフォルト)を発生させたことがありません。
ソーシャルレンディング業界第1位の会社である「maneo(マネオ)」は、このところ頻繁に貸し倒れを発生させています。
第2位の「SBIソーシャルレンディング」でも2018年には貸し倒れが発生しました。
しかし、クラウドバンクではSBIソーシャルレンディングと遜色のない返済実績があるのに、貸し倒れを一度も発生させたことがないという非常に信用性の高い投資を投資家に対して提供しているのです。
もちろん、貸し倒れを発生させたことがないからといって、それをむやみに信用するのは危険です。
maneo(マネオ)も2018年前半までは、返済で貸し倒れを発生させたことはありませんでした。
ただ、maneo(マネオ)の件に端を発し、金融庁から現在ソーシャルレンディング会社各社に対して非常に審査が厳しくなっている中、その状況下でもきちんと返済を続けている点を重視して考えてみましょう。
クラウドバンクは貸し倒れを発生させない、つまり融資先の経営状況や事業の確実性を見るという点においても、優れた審査の眼を持っているといえます。
良い評判③:運営元の会社が大きいため信頼を担保してくれる
クラウドバンクを運営している会社は、「日本クラウド証券」という会社です。
日本クラウド証券は上場こそしていないものの、「第二種金融商品取引業免許」ではなく、「第一種金融商品取引業免許」を取得しています。
第二種免許よりも第一種免許を取得している業者の方が、コンプライアンスは高いものを求められますし、資本金の規模も高い基準が求められています。
社員数が一桁台のソーシャルレンディング会社と異なり社員数は数十名おり、第一種融商品取引業免許を取得しているクラウドバンクの方が、一般的な目で見れば、信用に足ると考えられます。
また、同社の決算情報を見ても、きちんとソーシャルレンディング授業で黒字化を達成しています。
よって、すぐに会社がソーシャルレンディング事業から撤退してしまうという懸念もありません。
会社規模や取得している免許、そして決算情報などを見ると、クラウドバンクは一定の信用を置くに足るソーシャルレンディング会社と言えるでしょう。
良い評判④:案件数が豊富である
投資先としての有用性を見るときには、信用度はもちろんですが投資できるタイミングを豊富に提供してくる会社であることも重要です。
いくら優れた案件を提供してくれていても、投資できるタイミングが数ヶ月に一度しかないようでは、投資家が利益を出すことはままなりません。
クラウドバンクの場合、常時複数案件が募集をかけており、また、案件募集開始からすぐに上限金額に達してしまうことも少ないです。
投資家にとって資金を眠らせておくことは、機会損失とも言えます。
クラウドバンクは豊富な投資機会を提供してくれるため、無駄金を作ることなく常に利益を生み出すことができるのです。
クラウドバンクの悪い評判
クラウドバンクも、もちろん良い評判ばかりではありません。
同社のクローズアップされがちな問題点を確認していき、本当に良い評判・悪い評判があるのかを確認していきましょう。
悪い評判①:2015年と2017年に行政処分を受けている
クラウドバンクは2015年、2017年の二度にわたって行政処分を受けています。
特に、2015年の行政処分の内容は、投資家から集めた資金を分別管理していなかったという第一種金融商品取引業者にあるまじき内容の行政処分でした。
現在このような処分を受けると、投資家からの評判を大きく失うことになるでしょう。
この場合は、タイミングが良かったと言うか、2015年の段階ではソーシャルレンディングもまだそれほど有名な投資手法ではなく、投資家の数も少なかったことが幸いしています。
2017年の行政処分は、
- 募集に関して誤解を招くような表記がある
- 投資家に対する特典の提供に関して問題があったことがある
という行政処分の内容であり、こちらの内容は比較的軽微といえます。
2015年の行政処分の場合、営業停止1ヶ月という重いものでした。
しかし、2017年の場合は特に営業停止処分などはなく、投資家からの信用を損ねることもありませんでした。
行政処分を受けたことを、「2回も行政処分を受けるような内部監査体制の不備がある」ととらえるのか、それとも「行政処分を受けたがきちんと信用回復してその後も業績を伸ばすことに成功している」と見るかは人によって変わってくるでしょう。
悪い評判②:利回りが高くない・太陽光案件が多い
クラウドバンクでは、自社のホームページのトップで平均的な利回りの値を公開しています。
その利回りを見ると7パーセント弱となっており、ソーシャルレンディング業界では平均的な数字だと言えるでしょう。
クラウドバンクの案件は、太陽光発電装置への投資案件が多いです。
比較的高い利回りを提供している太陽光発電案件でも、同社では7パーセントから8パーセント前後と比較的に利回りは抑えられてしまっています。
さらに、今後太陽光発電案件への融資は、国への売電価格の下落から、どんどん減っていくことが予測されます。
このような好利回り案件が減っていく可能性が高いため、クラウドトバンク全体の平均的な利回りは6パーセント前後に今後落ち着いていくことが予測されます。
悪い評判③:不動産担保の評価が曖昧
クラウドバンクでは、投資家への情報開示がまだ十分には行われているとは言えない状態です。
例えば、不動産関係の案件を見ていると、レンデックスは東急リバブルの審査を受け、その8割までを融資金額の上限とするなど、投資家の損失を発生させないための取り組みを入念に行っています。
しかし、クラウドバンクの場合、不動産担保の情報を見ると地名や建物の種類といった情報は書いてありますが、実際どれくらいの評価額なのかという点についてはまったく記載されていません。
そのため、ラッキーバンクのように、地名だけ見れば不動産としての価値が高そうなところだったのにも関わらず、いざ貸し倒れ後に担保を売却してみたら全然資金を回収できなかったということも起こり得るのです。
その他にも、自社がどの程度の金利で貸付を行っているのかという情報も、明らかにはされていません。
低金利案件だから返済リスクが低いだろうと思って投資をしてみたら、実は金利15パーセントで貸し付けしていて、投資家は6パーセントしか利益を提供してなかったということも考えられるのです。
クラウドバンクは投資対象となるのか
ではこれまでの良い評判・悪い評判を省みて、クラウドバンクは投資対象になるのかどうかについて考えてみましょう。
結論から言えば、2019年4月の情報開示方針の変更を待ち、十分な情報開示が行われれば投資先として、信用に値すると言えます。
クラウドバンクでは、2019年3月18日(月)に金融庁からの指導を受け、今後はいち早くどんどん情報開示を「貸付先と相談の上で」行っていくとの方針を発表しました。
ただし、まだ具体的な情報の開示は行なわれていない状況です。
同社がその宣言どおりにきちんと情報開示を行い、融資先の名前、担保の内容などを示してくれれば、投資家としては十分信用しても良いでしょう。
貸付実績と回収実績は豊富なのですから、そういったノウハウは蓄積されていると言えます。
今後ソーシャルレンディングの投資先としては情報開示をどこまで行うのかが重要になってくると言えるでしょう。