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クラウドリースはmaneo系事業者
maneo(マネオ)系事業者のトラブルが続く中、クラウドリースの評判や実績が気になっている人は多いと思います。
クラウドリースとは、maneo(マネオ)のプラットフォームを通じてソーシャルレンディングサービスを提供しているmaneo系事業者です。
おもに飲食店やパチンコ店、ネットカフェやシェアハウスなど、特徴的な案件を対象に高利回りの融資を提供しています。
クラウドリースの評判を紹介していく前に、2018年から立て続けに発生しているmaneo(マネオ)系事業者のトラブルや遅延について振り返っておきましょう。
maneo系事業者のトラブルや遅延の状況
※2019年3月現在の情報です
maneoマーケット(本体)
2018年7月に行政処分を受けた。
グリーンインフラレンディング社のファンド募集に関する管理上の問題点などを指摘され、業務改善命令を受けた。
以後、ファミリー系事業者に対する貸付条件を強化したと思われる。現在64.4億円延滞中。
グリーンインフラレンディング
2018年7月に貸付資金の不正流用が発覚し、maneo(マネオ)社から締め出され、新規募集停止中。
現在、約134.6億円もの資金が延滞中。
延滞の原因が資金の不正流用であり、悪質性が高い事件と言える。
ガイアファンディング
2018年11月、貸付案件のほとんどで遅延が発生。
以後新規募集停止中。
現在、41.5億円が延滞中。
キャッシュフローファイナンス
2018年10月に遅延が発生。
現在、7.2億円が延滞中。
maneo系事業者ではトラブルが頻発している
業界最大手の実績を誇るmaneo(マネオ)社ですが、2018年7月のグリーンインフラレンディング事件から現在までにグループで総額約200億円超の遅延が発生しています。
遅延している貸付金についてはまだ返済途中のため、貸し倒れが決まったわけではありません。
とはいえ、ここまでの規模になると多くの投資家にとって「maneo系事業者、大丈夫?」と思うのが当然の流れですよね。
実は、肝心のクラウドリースについても2019年3月現在、約51.5億円の遅延が発生しているのです。
「maneo系事業者、やっぱり……」と落胆した投資家は多いと思います。
それでは、クラウドリースの実績や本来の評判について詳しく解説していきましょう。
クラウドリースの実績
クラウドリースは元々、特徴的で高利回りの案件を抱える評判の事業者でした。
クラウドリースがソーシャルレンディングサービスを開始したのは2016年3月で、飲食店やパチンコ店など、他の事業者ではあまり見られないユニークかつハイリスクな融資案件を対象に高利回りのサービスを提供してきました。
その結果、短期間で多くの資金を集めることに成功し、当初2年間は順調に返済も行われている人気の事業者だったのです。
▼クラウドリースHPにて、実績が公開されています▼
出典:クラウドリースHP
貸付金総額:159億8409万0000 円(うち101億1115万2386円を完済)
※2019年3月現在の情報です
設立後、3年未満で159億円もの資金を集めた実績を見ても、どれだけ人気の事業者だったかがわかりますよね。
ユニークな案件が多いとは言え、当時はmaneo(マネオ)系ファミリーという絶対的な信用力もあり、ここまで実績を伸ばすことができたのでしょう。
ただ、当初順調な返済を続けていたクラウドリースでしたが、2018年に相次ぐ遅延が発生し、現在に至ります。
上記の実績を見ると「延滞中」の案件が21件、51億5895万3193円あるのに気づきますよね。
これは貸付金総額の約34パーセントを占めており、無視できない規模になっています。
今まで順調に返済できてきて、評判も悪くなかったクラウドリースですが、なぜこのような事態になったのでしょうか?
クラウドリースの評判についても詳しく解説していきますね。
クラウドリースの評判
もともと、投資家からのクラウドリースの評判は「ハイリスク・ハイリターン」というものでした。
ソーシャルレンディング業界の中でもまれにみる高利回り(10パーセント超えの案件も多数あり)が多く、飲食店、パチンコ店、シェアハウスなど「需要はあっても通常の銀行では嫌煙される業界」を対象にしていることから、リスクの高さについてもサイト上で記載されていました。
そのため、多くの投資家はハイリスクを承知したうえでクラウドリースへ投資していたと思います。
当時は業界最大手のmaneo(マネオ)ファミリーという信用力もありましたし、クラウドリースは他社と重複しない特徴的な案件がそろっていました。
そのため、分散投資をするうえで投資対象にししやすいということもありました。
また、2018年の遅延発生までは順調に返済が行われてきていたため、「当初は心配だったけど、蓋を開けてみるとわりと順調なサービスじゃん」という評判だったのです。
なぜクラウドリースで遅延が発生したのか
決して評判は悪くなかったクラウドリース。
今まで順調にできていた返済が、なぜ2018年に一気に遅延するようになったのでしょうか?
遅延の原因は、資金の貸し手各社それぞれから報告があり、パチンコ店の場合はスロット機の開発スケジュールの遅れなどがあります。
しかし、遅延が大量に発生するようになった根本的な原因は違うところにあると思います。
maneo(マネオ)系事業者の大量遅延発生は、maneoが2018年7月にグリーンインフラレンディング社の件などで行政処分を受け以降に起きています。
行政処分により、maneo(マネオ)は当局に対してより管理態勢を厳しく強化していることをアピールしなければいけなくなりました。
業界最大手でもありますし、多くの投資家の信頼回復に努めなければいけないという事情もあるので仕方ないですよね。
しかし、管理態勢を厳しくする中で、maneo(マネオ)系の各事業者に対して貸付条件を厳しくしたことが、多くの事業者の資金繰りを悪化させることになったのではないでしょうか。
元々、クラウドリースはハイリスクな案件を数多く抱える事業者で、「リファイナンス」と呼ばれる案件も多く提供されていました。
「リファイナンス」とは、借り換えとも呼ばれる融資の専門用語で、資金の再調達を意味します。
あるファンドの返済をするために別のリファイナンス案件を組成することで金利や返済の条件を戦略的に変えることができるため、ただ資金の借り換えで融資を先延ばしにしているわけではありません。
事実、クラウドリースはこのリファイナンス案件があることで順調に資金を返済できていたようにも思えます。
それが今まではリファイナンス案件込みで順調に返済できてきたのに、maneo(マネオ)本家の行政処分でリファイナンスが認められなくなり、資金繰りが悪化して貸付金の遅延につながったのではないか、というのが投資家である筆者の推測です。
ただ、maneo(マネオ)が公式に遅延の原因を認めたわけではないですし、上記の推測は個人的な意見ですので、遅延の真相はわかりません。
ただ、ひとつ言えることは、現在わかっている事実や状況を客観的に判断すると、クラウドリースの融資審査や運営の姿勢に大きな落ち度はないように思います。
遅延後のクラウドリースの対応
遅延発生後、クラウドリースの対応に関する評判はどうなっているのでしょうか?
インターネット上での投資家の声を見ていると、クラウドリースは遅延が起きてすぐ各社から資金の返済計画を出させており、そのうえで逐次投資家に細かい報告をしています。
この姿勢は資金の不正流用をしていたグリーンインフラレンディング社とは異なるものですし、投資家に対する誠実さを感じますよね。
クラウドリース社の提出した返済計画によると、分割返済の可能性も提示されています。
パチンコや飲食店などの商売は短期で見ると浮き沈みがあるものの、長期で見れば利益を見込める商売でもあります。
分割返済などが可能になれば、時間はかかっても返済の目途がつくのではないでしょうか。
クラウドリースは現在、大規模な遅延を抱え厳しい状況にはありますが、投資家への姿勢を見ていると一概にダメな事業者とは言い切れません。
遅延や貸し倒れは、すべてのソーシャルレンディング事業者で起こりうるリスクです。
大切なのはこのような事態が起きたとき、事業者として投資家へどのような対応を取るのか、貸付金の回収をどのように行っていくのかを確認することではないでしょうか。
まとめ
クラウドリースの評判について、過去から現在の評判や実績についてまとめてきました。
改めて振り返ると、次の4点がポイントです。
- クラウドリースはハイリスク・ハイリターン融資が多い事業者
- ユニークで高利回りの案件は人気があったが、現在遅延発生により新規募集停止中
- 遅延発生の遠因はmaneo(マネオ)本家の行政処分により貸付条件が厳しくなったことだと思われる(筆者の予測)
- 遅延額は50億円を超えているが、投資家への対応は迅速で今後の返済に期待が持てる
クラウドリースの遅延が今後どうなるかわかりませんが、不動産投資案件が多いソーシャルレンディング業界において、特殊な案件を取り扱うクラウドリースのような事業者の存在は必要です。
クラウドリースの動向を注視しつつ、今後の対応を見守りたいと思います。