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大規模遅延発生のクラウドリースで社長が退散
2019年4月現在、クラウドリースで大規模な遅延が発生しています。
そこに追い打ちをかけるように、
- 投資家へのすべての支払いを停止すること
- クラウドリース代表者が弁護士に対応を丸投げした
という衝撃のお知らせがmaneo(マネオ)より発表されました。
遅延発生中のmaneoファミリーの中では、まだ投資家に真摯な対応を見せていた(ように見える)クラウドリースですが、なぜこのような事態になったのでしょうか?
「クラウドリースは他の事業者と違うはず」と思っていた中での急展開で、ソーシャルレンディング投資家である筆者もショックを隠し切れません……。
→→そもそもクラウドリースとは?まだ同社を信じていたころの記事
クラウドリースの遅延状況まとめ
急展開のクラウドリースについて、まず今までの遅延状況をまとめてみました。
2016年
クラウドリース サービス開始。
2018年7月
サイト運営元のmaneoマーケットが行政処分を受ける。
2019年1月
クラウドリースで大規模な遅延が発生する。この時点で遅延総額38億円超。
2019年2月
クラウドリースより、資金の回収状況について投資家へ断続的なお知らせあり。
2019年3月
クラウドリースで追加の遅延が発生し、遅延総額は50億円超になる
2019年4月
クラウドリースで全案件が遅延状態になる。
maneoより、クラウドリースの今後について下記のお知らせあり。
- 今後同社の対応については弁護士に委任(顧客へのお知らせや発表はmaneoを通じて行う)
- 投資家への支払いはいったん全件停止
2019年1月から急に遅延が発覚したクラウドリース。
2019年2月から3月時点では、投資家に対する細かい回収状況報告がありました。
しかし、2019年4月になってついに全案件が遅延状態になり、代表者は弁護士に責任を放り投げて退散したことがわかったのです。
投資家にあれだけ細かい報告をしていながら、その後の支払い全件停止に加えて、弁護士に責任を丸投げ……。
この発表には多くのソーシャルレンディング投資家が驚いたのではないでしょうか?
支払い停止や弁護士への委任などの経緯について、より詳しく解説していきましょう。
全件停止や弁護士委任の経緯
クラウドリースから投資家への支払が全件停止されることになった経緯については、maneo(マネオ)からの発表で、次のように記載されています。
▼2019年4月5日付の発表▼
4月5日【株式会社Crowd Leaseを営業者とするファンドにかかる資金の償還・分配について】
当社が受領したCrowd Lease社の当社宛の通知において、Crowd Lease社は、4月 10 日の配当期日のファンドの支払を停止する、回収に向けた業務は継続する、今後の対応を弁護士に委嘱したなどとしています。
現在、上記通知の趣旨や背景、Crowd Lease社の財務状況、ファンドの運用状況などを確認すべくCrowd Lease社に接触を試みておりますが、詳細を把握する立場にある役職者との接触ができておらず、有益な情報は収集できていない状況です。また、現時点において委嘱先弁護士の詳細情報につきましても明らかにされていません。わかりやすく言えば、
「クラウドリースが急に支払停止や弁護士委託の通知を出してきた。でもそもそも役職者と連絡が取れていないし、詳細がわからないので確認する」
という感じです。
この時点でクラウドリースとmaneo(マネオ)の連携の悪さがよくわかりますし、maneoファミリーとmaneoの関係って結局こんなものだったのかと思ってしまいます。
ただ、発表の内容を見る限り、クラウドリースはmaneoとの話し合いすら放棄して弁護士に丸投げしている印象があります。
この対応は、投資家に対してもmaneoに対しても不誠実ですし、maneoが苦しい言い訳をしたくなる気持ちもわかります。
さらに2019年4月9日、maneoからの発表には続報があり、下記のように記載されていました。
▼2019年4月9日付の発表▼
4月9日【延滞発生に関するご報告及びCrowdLease社に係る状況報告】
4 月 8 日付でCL社から委任を受けたとする弁護士からの受任通知がございました。この受任通知は、以下の①~⑤を主たる内容としております。
① CL社・弊社間の契約に基づくCL社の弊社に対する債務の履行等に関し委任を受けたこと
② CL社は、ファンドの各投資家への支払を全ていったん停止する判断をしたこと
③ かかる判断の理由については、改めて弊社に報告等すること
④ CL社には、現時点で自己破産申立てなどの法的整理手続の意向はなく、新たな営業活動は停止したうえで、回収業務に専念すること
⑤ 投資家の皆様への説明・報告については、弊社に各種情報を提供のうえ、弊社を介して行いたいこと
2019年4月9日付けのお知らせでは、maneo(マネオ)がクラウドリース代表と連絡が取れたことを記載しています。
しかし、代表者が弁護士にすべてを委任したこと、投資家への支払をいったんすべて停止したという事実は変わらず、なぜ停止になるのかの理由もまだわかっていません。
結局、代表者と連絡が取れても「弁護士に任せて逃げた」という印象は消えず、大きな進展はない状況です。
クラウドリースは資金の回収活動を続けるそうですが、そもそもmaneo(マネオ)とクラウドリース間の連携が悪い状況では、遅延している資金の支払い保留はかなり長引くのではないでしょうか。
クラウドリースで遅延が起きた理由
そもそも、なぜクラウドリースで大規模な遅延が起きたのでしょうか?
クラウドリースがサービスを開始したのは2016年ですが、遅延が起き始めたのはmaneoが行政処分を受けてから。
それまでは順調に分配金の支払いが行われていました。
しかし、2019年1月に38億円の遅延が発表され、その後3ヶ月で全件遅延、代表者が弁護士に丸投げという急展開になりました。
数ヶ月で急に遅延が多発した理由としては、「maneoの行政処分以降、maneoがファンドの基準を引き締めてリファイナンスファンドが作れなくなったこと」が大きく影響していると思います。
リファイナンスファンドとは、あるファンド返済のための借り換え資金を募集するファンドのことで、資金借り換え用のファンドを指します。
クラウドリースは元々飲食店やパチンコ店など、日銭商売の企業を対象に融資をしている事業者でした。
そのため、資金回収が厳しいときでもリファイナンスを活用することで投資家への償還金・分配金返済を円滑に行うことができていたのです。
それが、maneo(マネオ)の締め付けでリファイナンスができなくなり、急速に支払いの遅延が始まったのではないでしょうか。
同様の事態は、クラウドリースと同じmaneoファミリーの「ガイアファンディング」や「キャッシュフローファイナンス」でも起きています。
クラウドリースについても、他のmaneoファミリーの事業者についても、maneoは一貫して「何も知らなかった。むしろ自分たちも被害者」というような対応を取っています。
しかし、元々maneoがプラットフォーム貸し出し事業を広げ、たくさんの事業者に安易な融資を許していたからこそ、このような問題が次々に出てきたのではないでしょうか。
確かに、maneoは何も知らなかったかもしれません。
しかし、maneoの「自分たちも被害者」というスタンスでは投資家の怒りは収まりませんし、ずさんな事業者の募集をさせていた管理責任は大いにあると思います。
クラウドリースの今後はどうなる?
クラウドリースの遅延問題は、まさかの「弁護士委任&しばらく支払い停止」という事態になってしまいました。
今後、遅延中の資金は無事返済されるのかどうかが気になりますよね。
クラウドリースの社長は弁護士にすべてを任せて逃げ出したように見えますが、最初に遅延が発覚したときに資金回収状況について迅速な報告がありました。
急に社長の退散劇があったとは言え、元々返すつもりがない(詐欺だったのなら)なら、投資家に対しそのような細やかな対応をする必要はないはずです。
社長の退散劇が急に起きたのには何らかの理由があると考えられます。
回収に向けての努力をしたものの、「やはりリファイナンスができないmaneo体制下ではやっていけない」と急な判断が必要な何かがあったのかもしれません。
もちろん、真実はわかりません。
ただ、今までの対応を考えると完全な詐欺であるとは言い難いですし、パチンコ店などは日銭商売であることから回収の可能性はゼロではないでしょう。
クラウドリースの遅延について、投資家への支払いは時間がかかることが予想されます。
ただ、詐欺であると確定したわけではないです。
少しでも早く回収の目途がつくよう祈りつつ、今後を注視しましょう!
まとめ
クラウドリースの遅延状況について解説しました。
2019年4月段階でわかっている経緯や状況をまとめると、次のような状況です。
- クラウドリースで全案件が遅延&投資家への支払いもいったん停止
- クラウドリース代表者は対応などをすべて弁護士に委任
- 委任や支払い停止の判断理由はよくわかっていない
- クラウドリースとmaneoは連携がとれておらず、支払い停止は長引きそう
つまり、現段階では「よくわからない」ということです。
情報がない以上は、報告を待つしかありません。
われわれ投資家がすべきことは、
- 遅延などのトラブルが起きたときに投資家に対する事業者の対応をしっかり見ること
- 今まで以上に事業者も案件選びも慎重に、分散投資でリスクを低減すること
しかありません。
クラウドリースの今後はまだ誰にもわかりませんが、対応に注視しつつ、信頼できる事業者を見極めて慎重に分散投資をしていくようにしましょう。