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SBIソーシャルレンディング、匿名化解除案件募集開始!
2019年5月17日(木)、SBIソーシャルレンディングで匿名化解除案件の募集が開始されました!
▼匿名化解除案件の第1号は、「SBISL不動産ディベロッパーズローンファンド14号」▼
画像出典:SBIソーシャルレンディング
匿名化解除案件とは、ソーシャルレンディングで長らく禁止されていた「資金の借り手企業情報を公開した案件」ということです。
つまり、今まで匿名だった借り手企業の情報を見て投資できるようになったのです!
2019年3月に金融庁が匿名化解除方針を出して2ヶ月。
ついに、大手のSBIソーシャルレンディングが動きました!
しかし、さっそく案件の情報をチェックした投資家からは、すでに不満の声が上がっており、匿名化解除案件の評判はあまりよくない様子です。
一体なぜなのでしょうか?
まずはSBIソーシャルレンディングの匿名化解除による情報開示方針から見ていきましょう!
SBIソーシャルレンディングの情報開示方針
SBIソーシャルレンディングの匿名化解除案件の評判が芳しくないですが、情報開示方針はどうなっているのでしょうか?
2019年5月16日(木)に発表された情報開示方針のポイントは以下のとおりです。
情報開示方針のポイント
- 借り手企業の匿名化解除は、SBIソーシャルレンディング社が考えるソーシャルレンディングのあるべき姿である
- 同社は2011年の設立以前から、借り手先企業の情報開示を前提としたビジネスモデル構築を目指していた。しかし当初は貸金業法の観点で匿名化必須の結論が出ていた
- 今回、金融庁から匿名化解除方針が発表されたため、借り手企業にも理解を求めた結果、2019年5月17日以降に募集するファンドより、順次借り手企業の商号などの情報を公開することとする
出典:「ソーシャルレンディングにおける借手開示対応の開始について」
SBIソーシャルレンディングは、以前から情報開示前提のビジネスモデルを考えていたけど、当初は業法の関係でそれが叶わなかったのです。
今回の匿名化解除は、ソーシャルレンディングのあるべき姿であるとの主張があります。
クラウドクレジットの杉山社長が「まともな事業者は匿名化解除に賛成」という旨の発言をされていましたが、SBIソーシャルレンディングも同じ方針だったということでしょう。
方針の文中に
”当社は、ソーシャルレンディングが果たす役割とは、自社の関係会社等のための資金調達手段などではなく、世の中に数多ある「お金を借りたいニーズ」と「お金を運用したいニーズ」を「結びつける」ことにあると考えております。”
という表現がありましたが、資金の不正流用で問題を起こした他の事業者を思いっきり揶揄しています。
SBIソーシャルレンディングのお知らせは、いつも必要最低限でシンプルなものが多いです。
今回の方針発表は、珍しく同社の思いを感じさせる熱い内容でした。
それほど、悪質事業者のせいでソーシャルレンディングという投資全体のイメージが悪くなっていることを嘆いているのでしょう。
SBIソーシャルレンディングの匿名化解除案件の公開情報
さて、さっそくSBIソーシャルレンディングの匿名化解除案件の公開情報を確認していきましょう!
匿名化解除案件第1号である「SBI SL不動産ディベロッパーズローンファンド14号」の詳細情報は、SBIソーシャルレンディングの投資家登録しているユーザーしか見ることができない限定情報になっています。
※ファンド募集画面の「投資家限定情報」に詳しい記載があります。
2019年5月現在、投資家が見られる限定情報の項目は以下のとおりです。
借り手企業(貸付先企業の)情報
・貸付先の企業名
・企業所在地
・業種
・事業内容
・設立日
・注意事項
・財務情報(貸借対照表/損益計算書)
担保物件情報
・所在地
・アクセス
・現況・入居情報
・土地面積
・建設計画とスケジュール
・建築予定物件
・構造・規模
・予定用途
・総戸数
・エリア環境
・事業用地周辺の開発状況
・コメント
投資家向けの限定情報なので、当記事で内容をそのまま転載することはできません。
ただ、項目数を見れば、以前のSBIソーシャルレンディング募集案件より多くの情報が開示されていることはわかると思います。
担保物件については建設規模などの情報も記載されていますし、以前に比べて情報が多くなったことは大きな一歩です。
とはいえ、情報の開示項目がいくら多くても投資の判断に役立つかどうかはまた別問題。
実際に案件の詳細情報を見た筆者の率直な感想や投資家の口コミは、以降で詳しく説明していきます。
SBIソーシャルレンディングのの公開情報案件の感想・評判
SBIソーシャルレンディングの公開情報に関する評判はどうなのでしょうか?
情報を見た筆者の率直な感想と、投資家からの口コミ・評判を記載していきます。
該当案件は、オーダーメイド型ローンファンドで、「SBI SL不動産ディベロッパーズローンファンド14号」です。
ローンファンド14号に対する筆者の感想
- 公開情報数は多い。SBIソーシャルレンディングのファンドは今まで情報が少なかったので、以前より企業情報がわかりやすくなったことは確か
- 今回の案件(ローンファンド14号)では、正直参考になる情報は少なかった
※当該企業は「設立後、未稼働の状態だったため売上計上がない」と記載あり。つまりまともな実績がないため財務情報などを見ても参考にならない - 資本金は1万円と記載→ペーパーカンパニーを疑うレベル。逆に不安になってしまう
- 担保物件の所在地は番地までしか記載がなくこれから建設予定。開発の規模などはわかりやすいがまだ建設されていないため建設予定の情報だけでは参考にならない
つまり、公開情報は多いのですが、該当企業の稼働実績がなく担保物件もこれから建設予定なので、投資判断に役立つ情報なのかと言われると「微妙」というところです。
もちろん、以前より詳細の情報がわかったことは大きな進歩です。
今後、情報の開示案件がどんどん増えていけば、また違った感想が出てくるでしょう。
ローンファンド14号に対する投資家からの評判
正直これだけの情報では何も判断できない
- 開示1発目なのにもう少し良い案件出せなかったのか疑問
- 資本金1万円という規模でこの融資額。しかも2年間と長いので微妙
- そもそもソーシャルレンディングは銀行で借りられない借り手企業に融資するスキームだからこんな企業は多いのでは
- 借り手企業ではなく、SBIソーシャルレンディングという事業者の信用力にかけて投資しているので気にならない
- 不安はあってもSBIソーシャルレンディングなので、回収力に期待できる
- 人気事業者は悩んでいる間に完売するので、情報があっても短期間で判断するのがそもそも難しい
案件そのものに対する不安や不満は、やはり多いです。
せっかく情報開示初案件なのに、資本金1万円という実績や実態がわかりにくい企業であったことがネックになっているのでしょう。
ただ、これほど不満の声があったも関わらず、ローンファンド14号は募集開始後すぐ完売しています。
結局、匿名化解除で公開された情報に不満があっても、SBIソーシャルレンディングの事業者としての信用力に期待し、投資は続けているという投資家が多いのではないでしょうか。
匿名化解除案件は募集後即完売!約16億円
公開情報に不満がある投資家はいても、SBIソーシャルレンディングの評判が悪くなるということはありませんでした。
事実、インターネット上の声とは裏腹に、該当のローンファンド14号は募集開始後すぐに募集金額に達してしまいました。
筆者が公開情報を見てあれやこれやと悩んでいる間に、一瞬で16億3500万円の案件が完売してしまったのです……。
ちなみに、匿名化解除案件第2号として2019年5月20日(月)10時に募集開始になった「SBISL不動産担保ローン事業者ファンドNeo1号」も、募集金額9億円が一瞬で完売してしまいました。
これだけの規模の金額を一瞬で集めてしまうSBIソーシャルレンディング、さすがです!
ただ、同時に結局人気のあるソーシャルレンディング事業者はすぐに完売してしまうので、じっくり案件の情報を見て精査する時間がないということがわかりました。
これはソーシャルレンディング全体の課題と言えます。
SBIソーシャルレンディングはもとより、人気のあるソーシャルレンディング事業者の案件は、募集開始後すぐに募集金額に到達し、完売してしまう傾向があります。
結局、投資したい案件があるときは募集開始前にパソコンやスマホの前にスタンバイし、募集開始後すぐにクリック。
俗にいう「クリック競争」に打ち勝たなければいけないのです。
しかし、すべての投資家がクリック競争できる時間や余裕があるわけではありません。
正直なところ、仕事をしていたら毎回そんな時間を持つのは面倒です。
投資に手間暇がかからないのがソーシャルレンディングのメリットであるにもかかわらず、そのメリットがこの「クリック競争」で薄れてきているのです。
匿名化解除で情報が細かく開示されても、投資家は短時間で投資判断を下さないといけない。
ゆっくり考えて投資判断できないのなら、情報開示の意味がないのではないでしょうか。
SBIソーシャルレンディングは人気事業者だからこそ、今回の情報開示を機に、クリック競争しなくてもより多くの投資家がじっくりと案件を選んで投資できる仕組みを作って欲しいと考えます。
SBIソーシャルレンディングの特徴
匿名化解除案件16億円を即完売させたSBIソーシャルレンディング。
評判や人気が高い理由は何なのでしょうか?
ここでは、SBIソーシャルレンディングの評判について、良い特徴と悪い特徴をそれぞれまとめました。
これからSBIソーシャルレンディングで投資を始める人はぜひ、参考にしてください。
SBIソーシャルレンディング良い評判・悪い評判
- ネット系金融グループの雄、SBIグループが100%出資でサービス提供しているため信用力が高い
- 2011年からソーシャルレンディングサービスを展開しており、募集実績はmaneoに次いで業界2位
- 1万円から投資できる
- 入金手数料・出金手数料がほぼ無料
- キャンペーンが豊富にある
- 常時募集ファンドがあるので投資しやすい
- 過去に貸し倒れや遅延を起こしているが、案件の回収力に定評がある
- ホームページが使いにくい
- 他の事業者に比べ、情報公開が少ない。メディアでの情報発信があまりない
- セミナーやイベントの開催がない
一番の特徴は、巨大金融グループ「SBI傘下」というバックボーンでしょう。
SBIグループという看板があるからこそ、億単位の資金を一気に集められるのです。
裏を返せば、セミナーや社長のSNS発信などしなくても資金集めができてしまうということです。
事業者の信用力、ブランド力は断トツであるものの、正直サイトの使い勝手や情報発信については他の事業者のほうが工夫していると思います。
投資はあくまで自己責任です。
SBIソーシャルレンディングが気になっている方は、これらの良い特徴、悪い特徴をふまえて投資判断をするようにしてください。
まとめ
SBIソーシャルレンディングの匿名化解除案件の評判から、実際の開示情報や情報に対する口コミまでふまえて同社の特徴をお伝えしました。
重要なポイントは次の5点です。
- SBIソーシャルレンディングは元々匿名化解除を前提にソーシャルレンディングを立ち上げており、借り手企業の情報公開は事業者のあるべき姿と考えている
- 2019年5月17日(木)に初めて匿名化解除案件の募集が開始されたが、公開された情報だけで投資判断の参考になるとは言えず、ネット上の投資家評判はあまりよくない
- とはいえ、匿名化解除案件は募集後すぐ完売し、16億円を調達。その後の案件でも9億円の募集が一気に完売した。改めてSBIソーシャルレンディングの人気の高さが浮き彫りになった
- 匿名化解除による懸念事項として、「人気事業者の場合クリック競争があるので投資判断を短時間でしなければいけない。じっくり考える暇がない」ということがわかった
- SBIソーシャルレンディングには良い特徴も悪い特徴もあるが、事業者としての信用力・ブランド力は高い
SBIソーシャルレンディングの匿名化解除には、まださまざまな課題がありました。
ただ、以前より公開情報が確実に増えたこと、これだけの大手事業者が金融庁の発表後2ヶ月ですぐに匿名化解除の対応を始めたという事実は評価しなければいけないでしょう。
筆者個人も、今回の案件に不満を述べましたが、それは同社に対する期待値が高いからです。
不満や不安の声があがるのは、人気事業者ゆえの宿命です。
SBIソーシャルレンディングにはさまざまな特徴がありますが、これからの動向に期待が高まる事業者であることに変わりはありません。
なお、同じタイミングでクラウドクレジットも匿名化解除案件を発表しました。
併せて確認しておくと良いでしょう!