利回りが高い投資先として人気が高まっているソーシャルレンディング。
しかし、利回りが高ければリスクも高いというのが投資界隈の常識でもあります。
この記事では、ソーシャルレンディングはどうして利回りが高いのか、みなさんが疑問に感じていることをわかりやすく解説していきます。
リスクに注意した上で、おすすめのソーシャルレンディング事業者をランキング形式で5社紹介していきます。
ソーシャルレンディングをこれから始める方や利回りが高い投資先を探している方は、この記事を投資の判断に役立ててください。
目次
ソーシャルレンディングの利回りとは
ソーシャルレンディング投資で気になるのは「利回りがどれくらいあるのか」ということではないでしょうか?
利回りとは、1年間に投資した資金に対するリターン(利益)がどれくらいあるのかを示す数値です。
たとえば、100万円の自己資金をソーシャルレンディングで投資して、1年間で得られた金額(償還金+分配金の合計金額)が105万円だった場合の利回りは5パーセントと計算されます。
- 利回り=(償還金+分配金の合計金額-投資金額)/(投資金額)=(105万円-100万円)/100万円=5%
1年間で得られた金額が120万円だった場合、利回りは20パーセントと計算されます。
- 利回り=(償還金+分配金の合計金額-投資金額)/(投資金額)=(120万円-100万円)/100万円=20%
ソーシャルレンディングでは事業者ごとにさまざまな案件があり、案件の内容やリスクによって予定されている利回りの数値は異なります。
各事業者の募集画面では、利回りの大小で案件を選べるようになっています。
画像引用元:SBIソーシャルレンディング
画像引用元:クラウドバンク(Crowd Bank)
ソーシャルレンディングの利回りが高い理由
ソーシャルレンディングは、他の投資方法に比べると利回りがとても高いです。
事業者によって幅はありますが、5パーセントから12パーセントほどの高利回りな案件もゴロゴロあります。
- 投資信託:1%~3%ほど
- 株式投資:3%~7%ほど
なのに、ソーシャルレンディングの利回りは群を抜いて高いのです。
どうしてソーシャルレンディングはこんなに利回りが高いのか、疑問に思われるのは当然です。
その理由は、「お金を借り入れる企業が高い金利を支払ってでも融資を受けたいから」です。
順を追って詳しく解説していきましょう。
企業は高い金利を支払ってお金を借りている
まず、「ソーシャルレンディングを利用する企業は、非常に高い金利を支払って融資を募ってる」という事実が何を意味するのかを解説していきます。
例えば、投資家にとっての利回りが10パーセントの案件の場合を考えてみましょう。
企業は投資家に融資額の10パーセントの分配金を支払いますが、コストはそれだけではありません。
ソーシャルレンディングのサイトを運営したり案件を審査したりする事業者にも、手数料などの費用を支払います。
ソーシャルレンディング事業者に支払う手数料などを加味すると、企業が支払うコストは15パーセントや20パーセントにもなります。
投資家にとっては「利回り10パーセント」の案件も、企業にとっては「返済の金利15パーセントから20パーセント」の案件になっているということです。
銀行の融資の金利が1パーセントから3パーセントほどであることを踏まえると、企業(借り手)は非常に高いコストを支払ってソーシャルレンディングで資金を調達していると言えます。
企業(借り手)側の視点で考えると、「ここまで高い金利を支払うくらいなら、銀行で融資を受けた方が良いのでは?」と思うのが普通でしょう。
しかし、企業にもソーシャルレンディングを使うメリットがあるのです。
どうして高い金利を支払ってでもソーシャルレンディングを選んでいるのか、その理由を2つ解説していきましょう。
理由①:銀行の融資だけでは足りないから
ソーシャルレンディングを使う企業の多くは、銀行の融資を受けられなかったか、銀行の融資額が少なくお金が足りていない企業です。
銀行の融資の方が金利が低いので、ほとんどの企業はまずは銀行に融資を申し込むでしょう。
しかし、最近は銀行の融資の基準が厳しくなっていることもあり、満足な融資が受けられないケースが多いのです。
特に、創業して間もない新しい会社の場合、営業利益などの数字がまだ存在しないため、融資の審査には通りにくいです。
このように、銀行の融資が満足に受けられなかった企業が、ソーシャルレンディングで資金調達を行っています。
高い金利でも資金を調達したいのは、他に調達手段がないからだと言えます。
とはいえ、銀行の審査に通らなかったから見込みのない企業、というわけではありません。
ソーシャルレンディング事業者が審査を行い、基準をクリアできた企業しかサイトに掲載することはできません。
言い換えれば、ソーシャルレンディング事業者には高い審査能力が求められているとも言えますね。
理由②:高い金利で融資を受けても採算が合うから
ソーシャルレンディングで資金調達をする企業は、収益性が高い事業を行っています。
利益が大きいからこそ、高い金利を支払って資金調達ができるのです。
投資家に分配金を支払い、ソーシャルレンディング事業者に手数料などを支払い、かつ自分たちの利益も生まなければならないのですから、相当な収益がなければ成り立ちません。
高利回りな案件の裏には、もっと大きなお金が動いているのです。
ちなみに、採算が取れるかどうかを客観的に判断するのが、ソーシャルレンディング事業者です。
高い金利を支払えるポテンシャルがその企業にあるかを審査し、通過した案件だけがサイトに掲載されているのです。
このように見ていくと、ソーシャルレンディング事業者の審査能力が非常に重要であることがご理解いただけるのではないでしょうか?
審査能力が低い事業者のサイトでは、誰も投資をしたくないですよね。
信頼できる事業者については後ほどランキング形式で解説していきます。
ソーシャルレンディング案件を利回りの高さだけで判断することは危険
せっかくソーシャルレンディングで投資するなら、利回りは高いほうが良いですよね。
ソーシャルレンディングでは、利益(分配金)が出てもさらに税金が差し引かれるため、なおさら利回りの高さは重視したいポイントです。
しかし、ソーシャルレンディングの案件募集画面で掲載されている想定利回りは、確実に利益を保証するものではありません。
ソーシャルレンディングには元本保証がないため、万が一貸し倒れや遅延などの問題が発生すれば、利益どころか大きな損失を出してしまいます。
投資家の大半に損失を出した「ラッキーバンク」も、大規模遅延を発生させた「グリーンインフラレンディング」も、当初は「10パーセント超の高利回り案件」をたくさん出していました。
しかし、投資家に返ってきた資金はごくわずかで、今では投資家から訴訟を起こされるまでの問題に発展しています。
こういった複数の遅延トラブルを受け、利回りの高さだけを見るのは危険だということに気付いた投資家は多いことでしょう。
先ほど説明したように、利回りが高い案件は借り手が一般の融資よりはるかに高い利息で資金を借りている案件です。
高利息で資金を借りても、借り手の事業がうまくいかなければ一気に返済状況が悪化してしまうことは目に見えています。
利回りが高い案件にはそれだけのリスクがあるということを忘れず、事業者の信用力もふまえたうえで投資先を選定することが大切です。
利回りが高いソーシャルレンディング会社
ソーシャルレンディングで利回りが高い案件は、その分リスクも高くなります。
そのため、案件選びの際には事業者の信用力も確認したうえで投資先を選定することが大切です。
ここでは、年間利回り7パーセント以上と比較的高い利回りの案件を扱うソーシャルレンディング事業者をおすすめ順にランク付けしました。
おすすめの事業者ランキングはずばり、以下のとおりです。
利回りが高いソーシャルレンディング会社ランキング
- Crowd Credit(クラウドクレジット):信頼性随一
- FANTAS funding(ファンタスファンディング):注目度大
- Crowd Bank(クラウドバンク):今までの融資元本回収率100%
- SBIソーシャルレンディング:大手金融グループ
- LENDEX(レンデックス):遅延ゼロ
「高い利回りは魅力的だけど、できるだけ信頼できる事業者に投資したい」という人はこのランク付けを参考にしてみてください。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
ソーシャルレンディングで利回りが高い事業者のうち、一番のおすすめはCrowd Credit(クラウドクレジット)です。
常に何かしらの案件募集があるため投資ししやすく、7パーセントから12パーセント超えの高利回り案件が豊富にあるからです。
Crowd Credit(クラウドクレジット)の投資先は資金需要が旺盛な海外の成長企業中心のため、高い利回りの案件を豊富に用意できるのです。
もちろん海外案件のため為替リスクはありますし、同社では過去に遅延も元本割れも一定数起きているためリスクの高さは否めません。
しかし、次のような点から事業者としての対応や信頼性は随一です。
Crowd Credit(クラウドクレジット)の信用性が高い理由 |
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案件ごとにリスクの高さが明記されており、投資で元本割れは起こるものというスタンスの経営方針は、利回りが高いのにリスクは低いと誤認させるような広告を作る悪徳事業者よりよっぽど誠実です。
「利回りもリスクもそれなりに高いけど、何かトラブルが起きたときはきちんと対処してくれるだろう」そう信頼できる事業者として、おすすめ度第1位にしました。
FANTAS funding(ファンタスファンディング)
出典:ファンタスファンディング
ソーシャルレンディングの高利回り事業者おすすめ度第2位は、FANTAS funding(ファンタスファンディング)です。
ファンタスファンディングは、不動産メインの投資型クラウドファンディングを手掛ける事業者です(※不動産投資の事業に特化したソーシャルレンディングだとイメージしてください)。
通常、不動産投資といえば平均4パーセント前後の利回り案件が多いものです。
FANTAS funding(ファンタスファンディング)でもこれくらいの利回り案件が多いです。
しかし、FANTAS funding(ファンタスファンディング)は空き家を安く買ってリフォームし、投資用不動産として再生する事業で、6パーセントから8パーセントほどの高い利回り案件も提供しているのです。
もちろん、空き家再生はハイリスク・ハイリターンですし、投資不動産には一定の空室リスクもあります。
それをふまえたうえで考えても、次のような点から期待できる要素が多いことがFANTAS funding(ファンタスファンディング)の魅力です。
FANTAS funding(ファンタスファンディング)の魅力 |
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事実、FANTAS funding(ファンタスファンディング)では案件募集が始まると、常にクリック競争状態です。
それだけ人気も注目度も高い事業者ということですが、クリック競争による投資のしにくさ、事業者の信頼性はクラウドクレジットと比べると劣ってしまいますので、おすすめ度第2位としました。
Crowd Bank(クラウドバンク)
おすすめ事業者の第3位はCrowd Bank(クラウドバンク)です。
Crowd Bank(クラウドバンク)は2020年8月時点で1,059億円以上の融資を受け付けた実績があり、ソーシャルレンディング業界の最大手です。
Crowd Bank(クラウドバンク)の特徴は次のとおりです。
Crowd Bank(クラウドバンク)の特徴 |
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平均利回りは7.09パーセントで、ソーシャルレンディング業界の中でも高い方です。
先ほど紹介した第1位、第2位のほどではないかなといったところなので、当ランキングでは第3位としました。
しかし、これまで貸し倒れが発生したことがなく、担保の設定も保守的であることから、事業者の信頼性ではクラウドバンクは第1位と言えるでしょう。
ソーシャルレンディングをやるのが初めてで、利回りよりも元本割れのリスクを下げることを優先したいという方はクラウドバンクがおすすめです。
SBIソーシャルレンディング
おすすめ事業者の第4位はSBIソーシャルレンディングです。
さまざまな種類の案件を扱うソーシャルレンディング業界大手の会社で、これまでに1,400億円以上の融資を行っています。
SBIソーシャルレンディングの特徴は次のとおりです。
ピンクタイトル |
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ソーシャルレンディングは大手になるほど利回りが低くなる傾向がありますが、SBIソーシャルレンディングは5パーセント超えの高利回り案件も頻繁に募集を行っています。
当ランキングでは第4位としましたが、大手金融グループが運営していることを重視する方にはおすすめです。
なお、SBIソーシャルレンディングは過去の案件で数件ですが遅延を発生させています。
発生件数は同社が扱っている案件の数にしては非常に少ないですが、大手でも遅延は起こり得ることなのです。
なお、SBIソーシャルレンディングは遅延発生後の投資家への情報提供が非常に詳しく、好感されています。
LENDEX(レンデックス)
ソーシャルレンディング高利回り事業者おすすめ度第5位は、LENDEX(レンデックス)です。
LENDEX(レンデックス)は国内の不動産投資案件を中心に提供している事業者で、FANTAS funding(ファンタスファンディング)同様、不動産投資なのに6パーセントから10パーセントと高利回り案件を取扱っています。
レンデックスの人気の特徴には次のような点があります。
LENDEX(レンデックス)の人気の特徴 |
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ただ、LENDEX(レンデックス)がおすすめ度第5位なのは、他のソーシャルレンディング会社と比べた際の企業としての規模の小ささがあるからです。
経営陣を含め、従業員は全8名です。
上位4社と比べると、もう少し様子を見ておきたいといった印象の会社です。
まとめ
ソーシャルレンディングの利回りについて解説し、利回りが高いおすすめ事業者をランキング形式で紹介しました。
重要なポイントは次の5点です。
押さえておきたい重要ポイント |
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ソーシャルレンディングで投資するうえで利回りはとても重要な指標です。
ここ数年の高利回り事業者のトラブルを反面教師とし、信頼性の高い事業者を選んで投資することが大切です。
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